HOME・SITEMAP 日替わりメモ 日本におけるベル47ヘリコプターの歴史総目次

   

航空歴史館 日本におけるベル47ヘリコプターの歴史

  ベル47事始め 47D-1(H-13E)

 

   
 日本におけるベル47ヘリコプターの歴史は、朝鮮動乱(1950〜1953)当時に米海軍が持ち込んだHTL-4(47D-1)とHTL-5(47G)に始まると思われます。 以下米海兵隊のベル47参照

1 日機貿と川崎の取組

 その固定翼機にない有用性に目を付けたのが日本機械貿易株式会社及び川崎機械工業株式会社でした。その経緯を次表に示します。
 
      注 日本機械貿易株式会社=財界解体により旧三井物産から分離
          川崎機械工業株式会社=財界解体により旧川崎航空機から分離

1950

 日本機械貿易株式会社(以下「日機貿」)が米各社へ輸入販売希望を申し入れ

1951

 ベル社から日機貿に47D-1型の販売代理権を与える旨の回答がある
 
その条件
 
(1) 日本と台湾を独占販売地域とし、インド、パキスタンを非独占販売地域とする
 (2) 国産の製造実施権(メーカー選択権)は日機貿に供与する
 (3) 契約後10年間の販売義務機数は150機とする
 (4) 日機貿の費用で操縦士と整備士各1名を養成し、100日間ベル社トレーニングスクールに派遣すること

1952  上記条件を富士重工と川崎機械工業に持ち込み、後者が応諾
1952/04  川崎機械工業の四本潔取締役ら米国で調査
1952  川崎機械工業西明石工場にヘリコプター設計課設置 人員約30名
1952

 ベル社と日機貿が47D-1及び47G型製造実施契約締結

1952  日機貿と川崎機械工業が製造契約締結
1952/10  川崎機械工業西明石工場でベル47D-1初号機組立て開始
1953/11/16

 川崎ベル47D-1初号機初飛行 計11機生産

1954/02/27

 川崎ベル47D-1初号機 H-13E H-3001(JA8301) 陸上自衛隊へ引渡

以下川崎機械工業(株)参照

 

2 新聞社の取り組み

 航空再開でいち早く航空部を立ち上げた各新聞社が固定翼のセスナ195の次に目を付けたのがヘリコプターでした。毎日と讀賣は、航空士をアメリカへ派遣してベル47の技術習得と購入に当たらせました。中日もこれに乗って、1952年には3社揃ってベル47D-1を輸入し、報道に新しい境地を開いたのでした。以下毎日、読売、中日、朝日各新聞社参照

     

3 日本ヘリコプター輸送(日ペリ)の取り組み

 旧航空人の生活援助などを行っていた興民社が、航空再開とともに乗り出した会社の名前にヘリコプターを用いているとおり、ANA今日の隆盛を築いた元祖ともいえる航空機がベル47D-1でした。滑走路のいらない特性を生かして各地の運動場や広場で広告宣伝活動をやり、国民にヘリコプターを強く印象付けると共に新会社の収益源になったのでした。
 以下日本ヘリコプター輸送参照

    

4 海上自衛隊と海上保安庁の取り組み

 海上自衛隊(当時は警備隊)と海上保安庁もいち早くヘリコプターの有用性に目を付けました。1953年に海自はベル47D-1を4機、海保は3機輸入して、海自が開設した館山航空基地で訓練を開始しました。
以下海上自衛隊 海上保安庁参照

    

5  陸上自衛隊の取り組み

 陸上自衛隊(当時は保安隊)は、川崎機械工業のベル47D-1、1号機から6号機までのライセンス生産機を取得しました。浜松の航空学校でヘリコプター訓練を行い、後の川崎ベル47G-2(H-13H)と47G3B-KH(H-13KH)の大量導入への道筋をつけました。
 以下陸上自衛隊参照

    

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ベル47D-1 輸入機及び川崎機械工業でのライセンス生産機 

 ベル47D-1は、二人乗りのD型を三人乗りに改造したものです。日本人によるベル47系操縦がこの47D-1で始まりましたが、日ペリの葉山忠治整備士をはじめ各社において使い勝手の良いように考案がなされ、川崎機械工業も随時それらを採り入れていたと言われ、文字通り、日本におけるベル47の生産・技術開発・操縦技術・運用等の事始めとなった航空機です。

 しかし、ガソリンタンクを左右に振り分けて43ガロンに増量し、水平尾翼を付けたG型、及びエンジンをフランクリン6V4からライカミングVO-435に換装したG-1型、更に200馬力を240馬力エンジンに換装したG-1A型がでると、殆んどがそっちに改造されました。D-1型としての活躍期間は短いものでした。以下47G参照

 

 

 

 

1 日本におけるベル47各型式の主な相違点

各型式 製造会社 発動機 馬力 ローター 尾部 燃料タンク 搭乗人員
 ベル47D ベルエアクラフト フランクリン6V4-200-C32 200 木製2翔   1個 29ガロン 2名
 ベル47D-1 ベルエアクラフト フランクリン6V4-200-C32 200 木製2翔   1個 29ガロン 3名
 川崎ベル47D-1 川崎機械工業 フランクリン6V4-200-C32 200 木製2翔   1個 29ガロン 3名
 川崎ベル47G 川崎航空機工業 フランクリン6V4-200-C32 200 木製2翔 水平尾翼 2個 43ガロン 3名
 川崎ベル47G-2 川崎航空機工業 ライカミングVO-435-A1B 200 木製2翔 水平尾翼 2個 43ガロン 3名
 川崎ベル47G-2A 川崎航空機工業 ライカミングVO-435-A1E 240 金属製2翔 水平尾翼 2個 43ガロン 3名
 川崎ベル47G3B-KH-4 川崎航空機工業 ライカミングTVO-435 260 金属製2翔 水平尾翼 2個 55ガロン 4名
 ベル47J ベル ヘリコプター ライカミングVO-435-A1B 220 金属製2翔 水平尾翼  35ガロン 4名
 ベル47J-2 ベル ヘリコプター ライカミングVO-435-B1B 240 金属製2翔 水平尾翼  48ガロン 4名
 ベル47G3B-1 ベル ヘリコプター ライカミングTVO-435T1B 260 金属製2翔 水平尾翼 2個 57ガロン 3名
 ベル47G-4A ベル ヘリコプター ライカミングVO-540-B1B3 280 金属製2翔 水平尾翼 2個 62ガロン 3名
 ベル47G-5 ベル ヘリコプター ライカミングVO-435-B1 265 金属製2翔 水平尾翼 2個 59ガロン 3名