熊本県上天草市松島町の天草パールセンターに屋外展示されている飛行艇「新明和PS−1」を、所有する海上自衛隊が本年度中に解体・撤去することが21日分かった。老朽化が進んでおり、安全性を確保する。1967年初飛行の同機は4発プロペラ機。波高3メートルの荒れた海に着水できる能力や短距離で離着水する能力を持ち、着水した状態でソナー(水中聴音機)を使って潜水艦を捜す対潜哨戒機として運用された。後に陸上から発着し、海中に無線式のソナーを投下する後継機が現れ、89年までに全て退役。独自の技術は救難用の最新型US−2が引き継いでいる。84年に旧松島町が借り受け、同センターの敷地内に展示。現在は上天草市が管理する。自衛隊の所有のため、独自に修繕できない。熊本地震で機体が傾くなど、安全面の不安が大きくなっていた。同センターの田邊緑代表は「飛行艇を間近に見ることができ、子どもから戦争を経験したお年寄りにまで親しまれてきた。撤去は安全確保上やむを得ないが、とても残念」と話している。(大倉尚隆)