2010年1月2日
呉市長殿
インターネット航空雑誌ヒコーキ雲
制作者 佐伯邦昭
公開質問状
呉市史の内容について
呉市史第6巻第3章広海軍工廠・第11航空廠 第2節両工廠の生産と管理の動向の590ページに記載されている3-5表 第11空廠航空機生産実績について公開で質問いたします。
589ページに「アメリカ戦略爆撃調査団の調査は、以上の航空機の生産を3-5表のように、機種別に総括している。本文の記述とやや異同はあるが、他の資料より具体的である。」とあることについて、下記のとおり疑問があります。
発行から年月が経過してはおりますが、市史が巷の研究者の重要な資料になっていること及び呉市の名誉のためにも、誠実な対応をお願いしたします。なお、この質問文及び貴市からのお答えはすべてインターネット航空雑誌ヒコーキ雲に掲載しますので、不明の点は不明として、あるいは調査が長期間に及ぶ時はその旨を必ずお知らせください。
・ 第一 このアメリカ戦略爆撃調査団報告の表は、原文を呉市で翻訳されたのか、或いは翻訳したものを入手されたのか、その場合翻訳した機関名がわかればお知らせください。
・ 第二 「やや異同はあるが」とは、どの部分がやや異同なのかお示しください。
・ 第三 「他の資料より具体的」の他の資料とは、何を指すのか代表的な資料名をご教示ください。
・ 第四 3-5表を呉市の正史上に(不確かなものという注釈なしに)掲載されるについては、それなりの検証を行っておられるものと推察します。しかし、市井の一航空史研究者が見ましても、不確かどころか明らかな誤りも散見されます。後世に正しい歴史を伝えるためにも、下記項目についてご教示ください
@ [2行目 昭和5年に1式海軍攻撃機80機という実績について
?]
海軍一式陸上攻撃機は昭和16年に正式採用となり以後三菱重工業で量産されますが、昭和5年に11空廠で80機とはどいうことでしょうか。一式という冠称は皇紀2001年(昭和16年)を示します。
A [3行目 89式海軍機12機という実績について
?]
海軍八九式飛行艇のことでしょうか。
B [4行目 90式海軍機6機という実績について
?]
海軍には九〇式水上練習機と九〇式艦上戦闘機がありますが、そのどちらを11空廠で生産したのでしょうか。
C [6行目 91式海軍機238機という実績について
?]
海軍には九一式水上偵察機と九一式陸上中間練習機がありますが、いずれも少数機です。238機も量産されたとすれば赤とんぼで知られた九三式中間練習機(陸上、水上)とも思われますが、如何でしょうか。
D [7行目 14式海軍機60機という実績について
?]
海軍一四式水上偵察機のことでしょうか。
E [9行目 94式陸上攻撃機30機という実績について
?]
海軍の九四式には艦上攻撃機しかありません。
F [11行目 95式海軍攻撃機24機という実績について
?]
海軍九五式陸上攻撃機のことでしょうか。本文で度々著作を引用されている岡村純氏は、九五式陸攻は広廠と三菱で計8機が生産されたばかりで試験研究的な意味云々と書いていますが、それとは違う陸攻が生産されたのでしょうか。
G [13行目 99式海軍機10機という実績について ?]
海軍の九九式には艦上爆撃機と飛行艇がありますが、昭和14年の実績なら飛行艇の方だと思われます。
H もっとも各年と生産実績数にはほぼすべてに?マークが付きます。
年と年度の区分も不明だし、制式採用の年月と大きく矛盾しているものもあります。従って数値には信憑性がないものと考えられますが、どのような根拠をもって他の資料より具体的」として掲載されたのかお示しください。
追記
以上、極めてドライな書き方をして恐縮ですが、当方とて確証をもって言っているのではなく、質問自体に誤りがあるかもしれません。その点はご了承ください。なお、参考資料は下記のとおりです。
出版協同社版 日本航空機総集「川西・広廠篇」「愛知・空技廠篇」「三菱篇」「中島篇」
出版協同社版 岡村純巌谷英一著 日本の航空機 海軍機篇
酣燈社版 太平洋戦争日本海軍機
ほか