以下 解体後の経緯
@ 2004/11/15 歴史を平気で冒涜して恥じない役人
HAWKさんが岡南
飛行場のエアロコマンダーを見に行って唖然として写真を送ってきました。これが世界の名機エアロコマンダー1号機の立体モニュメントだと!!
歴史を平気で冒涜(ぼうとく)して恥じることの無い役人の無知に吐き気をもようしました。
A 2004/11/16 拝啓 岡山県知事殿
拝啓岡山県知事殿
このコピーは、朝日新聞社が昭和28年12月に発行した世界の翼(著作権期限切れ)の見開きに掲載されている写真と解説です。
朝日新聞社が、各社競争の中でJA5001という双発機ナンバーの1号を獲得して「新聞社機の中の白眉である」と誇らしくうたっていることだけでも歴史的に価値のある飛行機だとわかりますが、実は、この機体はエアロコマンダー社が自信を持って世界に送り出した生産第1号機の栄誉を備えているのです。
後にアイゼンハワー大統領も専用機として同型機を使ったことが示すように、名実ともに中型ビジネス機として名機中の名機なのです。その人類共通の貴重な産業遺産を長く岡山空港ー岡南飛行場のビルの上に展示していただいたことは感謝いたしますが、このたびの措置は一体どういうことでしょうか。
「この記念機にふさわしい有効活用計画」をうたいあげて募集しながら、気に入った提案がなかったからと、プロペラなど一部部品を利用して「立体的な看板(モニュメント)」を作成するという結末がこの有様です。
看板が悪いとは言いません。そこにはめ込まれたエアロコマンダー520第1号機のプロペラが泣いていることを指摘しているのです。知事さんはこれをモニュメントであると自信をもって言うのでしょうか。朝日の写真と見比べてみなさい。
機体が解体撤去されることは、既にアメリカにも知られており、あるいは興味を持って経緯を見ている方々がいるかもしれません。このプロペラ以外の部品はイベントなどで販売されるということですが、たちの悪い収集家によってネットオークションなどに流れていくのを見るのはとてもつらいことです。旧エアロコマンダー社で設計や生産に当たった人たちはなんと思うでしょうか。
隣の広島県からがちゃがちゃ言うなという影の声も聞こえてきそうですが、そんな地域間の低次元の話しではなく、日本の文化にかかわることです。財政事情がきびしいから、世界に赤恥をかいてもいいということにはなりません。活用計画の提案者の中には、引き取りたいと申し出た人もいたのです。
なんとしてでも、この機体の歴史的価値を再調査されて、しかるべき措置を講じていただくように知事さんに直訴いたします。
インターネット航空雑誌ヒコーキ雲制作 佐伯邦昭
なお、これは岡山県知事だけでなく、日本航空協会をはじめ航空機保存活動を展開しているすべての団体に共通します。殊更に沈黙している方々に敢えて言わせていただきます。日本の産業文化レベルを世界に発信するのは、何も国際航空宇宙ショーだけではないのです。
B 2004/12/01 岡山県から回答
佐伯 邦昭様
拝啓 先日はメールをいただきありがとうございました。いただいたメールにつきまして、岡南飛行場を担当する航空企画推進課に確認の上、次のとおり回答させていただきます。ご理解をお願いします。敬具
平成16年11月30日 岡山県知事室公聴広報課長
記
岡南飛行場では、エアロコマンダー式520型機を昭和38年から空港ビルディング屋上で展示し、皆様に親しまれてまいりましたが、建物の老朽化に伴う建て替えのため飛行場での展示はできないこととなりました。
このため、現状で機体を有効活用される方があれば引き取っていただくという基本方針でアイデア募集を行い、「航空博物館」等での展示、建設予定の航空宇宙博物館への寄贈、朝日新聞社への保存働きかけなど多くのアイデアが寄せられました。
寄せられたアイデアにより建物撤去までに移設可能と思われる施設に照会しましたが、同機が40年余りも露天で展示され相当痛んでいることや経費、展示スペースの問題などで受け入れ困難でした。
そこで、同機が相当痛んでおり、部品についても欠損が見られる上に飛行場内の事業者に検討してもらったところ「使えるものはない」との結論に至ったことなど、諸般の事情を考慮し、寄せられたアイデアの中から実現可能なものとして、プロペラを利用した一部立体看板に決定したものです。また、残った部品等についても寄せられたアイデアの中から実現可能な案について提案者と協議しているところです。
建物撤去までは機体は展示しておりますので、保存のため費用を負担しても引き取りたいという方がありましたら、飛行場管理事務所にご相談くだされば幸いです。
(参 考)
エアロコマンダー有効活用計画応募案一覧表
http://www.Prefectureokayama.jp/doboku/kounan/aerokekka.html
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技術立県を標榜する岡山県として、あの立体看板は歴史的産業遺産に対する著しい認識不足として物笑いではありませんかと指摘したのですが、その点の言及はありませんでした。まあ、分らない知事にこれ以上言っても仕方がないので「残った部品等についても寄せられたアイデアの中から実現可能な案について提案者と協議」に期待します。
撮影2004/12/26 HAWK
説明板 県当局のいう「モニュメント」に恥じないものと言えますか?
C 2004/12/13
岡山のエアロコマンダーにアメリカから反応
もうあきらめていた問題ですが、NPO法人立川航空宇宙博物館の香田隆正さんがアメリカへ窮状を訴えたところ、数件の反応があったそうです。その中の1通に次の言葉があります。
This aircraft should NOT be destroyed. It
has a place in history.
製造番号1のエアロコマンダーの重要性をみんなわかっているのです。1号機は要らないという博物館でも、Bob
Hooverが25年間エアショーなどで乗っていた機体を保管しているからという理由をつけており、歴史を大切にしている姿勢が伝わってきます。
アメリカへ引き取りたいという希望のメールもありますが、運送費などの問題が横たわります。今後の進展を見守り、何かお手伝いできることがあれば発表していきます。
ニッポンの中央の方で見て見ぬ振りを極めこんでおられる人々も少しは心を動かしてくれるでしょうかね。
This aircraft should NOT be destroyed. It
has a place in history.
D 2005/06/03 エアロコマンダーは解体費を付けて処分された
追えば追うほど腹の立つ岡南飛行場のエアロコマンダー問題です。何度か質問催促を繰り返した挙句、6月1日に次のような回答が来ました。黄色の部分が主題です
。
岡南飛行場の旧空港ビルディング屋上で展示していた、エアロコマンダー式520型機につきましては、同機が40年余りも露天で展示され相当傷んでいることや経費、展示スペースの問題などで引き取り手がなかったことから、残念ではありましたが解体・処分しております。
5月17日の電子メールでは、「公式に競売に付されたのなら、契約日、落札業者名、契約金額と、もしよろしければ入札に当たって条件(転売禁止とか)を付されていればそれも教えて頂きたいと存じます。」とのお問い合わせでありましたが、競売(払い下げ)を行っていないため、前回の回答とさせていただいております。
解体・処分については、適正に処分できることを条件に、解体処分能力を有する2社から見積もりを徴収した結果、最も費用が低価な有限会社T金属に平成17年3月5日に189,000円で処理を依頼し、平成17年3月末に完了しています。
今回の件につきましては、保存や有効活用ができないか広く皆様のご意見をいただき、検討を重ねてまいりましたが、このような結果となりましたことを、ご理解いただきますようお願いいたします。
また、今後とも、航空行政につきましてご理解、ご協力いただきますようお願いいたします。
なお、佐伯様が5月19日付けで当課に送られたと言われる電子メールにつきましては、原因はよくわかりませんが、当課では受信が確認できませんでしたため、佐伯様へのお返事が大変遅くなりご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
草々
岡山県 航空企画推進課Tel:(086)226-7282 Fax:(086)224-4127
・・・快適な 空の旅は 岡山空港から・・・
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つまり解体費約19万円を支払ってT金属に解体・処分させたというのです。確かに解体してビル屋上から搬出するとすれば、それだけの費用はかかるでしょうが、それはあくまで廃棄物としての場合です。
しかし、昨年9月には「売却可能な部品等については、イベント等で売却して、売上金があれば岡山国体に寄付する。」としておりました。有効活用アイデア応募者へ送った公文書ですから、間違いはありません。
(3参照)
私は、先般の関東東海遠征の際に、某自衛隊基地会計班がヘリコプターを競争入札にかけたところ、百数十万円で落札されたという話を耳にしました。この場合、国庫にそれだけのお金が入りました。
岡山県の場合も「部品等売却」を公約していたので、(それが良いことだとは申し上げておりませんが)、まさかお金を付けて処分させるとは思ってもおりませんでした。
3月にT金属さんの手にわたったエアロコマンダー実物は、もう炉の中で灰とインゴットと化したのでしょうか、あるいは、計器やら操縦桿やら車輪やらがどこかのマーケットへ現れるのでしょうか。仮に現れても岡山国体にお金が寄付される可能性は限りなくゼロに近いでしょうけど‥。
これ以上何を言っても、岡山県は手続きに瑕疵(かし)はないとされるのでしょう。世界的に貴重な産業遺産エアロコマンダー生産第1号機がこのように無理解な県職員の手で葬り去られました。
私は疲れました。