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 航空歴史館  掲載13/05/24
追加13/05/25

 

ノースアメリカンF-86の計器盤 マッハ計について

  計器の裏に1958年と1960年のスタンプ

関連A4528-3

質 問

 アメリカから購入たF−86の計器板には、速度計とは別に「マッハ計」が取り付けられています。通常、F−86にはマッハ計は付いていないと理解していました。

 F−86は音速を超えてはいませんが、おそらくかなり後期の機体で、音速超えの過渡期の機体用ではないかと推測しています。

 この計器板がF−86のどのタイプであったかを知る方法をご存じでしたら、ご教示下さい。写真の左側上段の計器、0.5〜1.5の目盛の計器です。  (2013/05/23 sera)

 

拡大      マッハ計(0.5-1.5)    速度計(100kt)

 

回答 F-86Fにも付いています その1 にがうり

 浜松広報館のF-86F-40 02-7960の速度計はノットとマッハ表示で構成されています。諸元では最大速度(増槽なし)がM 0.95 または600Kt とあるので,この速度計にも600Kt 手前の570Kt あたりに注意喚起のレッドがマークされていますね。600Kt が最大(制限)速度なら570Kt あたりが注意喚起点なのでしょう。 
 

 ハチロク級のヒコーキなら水平では無理でも軽いダイブで簡単に音速に達するか突破もあり得ます。ただ設計機体強度がないので速度制限して、そのためにエアブレーキ装備や一般速度計より判読容易なマッハ計またはマッハ表示も合わせた速度計としているわけです。

参考 F-86 Instrument Panel   http://www.sectionf8.com/instrument_panel_ref.html

Airspeed Indicator Red marking is Vne (no external load): 600 knots IAS. Maximum gear- and flaps down airspeed Vle is 185 knots IAS (yellow). The red and white limit hand points to the airspeed limit for external loads (drop tanks) below 15,000 feet, which is 555 knots IAS or 0.9 Mach, whichever is less. Above 15,000 feet, airpeed is unlimited except where wing roll becomes excessive.

 これによればNo.57-58はマッハ計とVOR(ADF)は位置の互換関係で、且つ空自仕様の位置とも違います。つまりヒコーキ仕様は使用者によってどのようにも変るということを理解してください。


 


回答 F-86Fにも付いています その2 井上 進

 F-86Fのマッハ計は重要な計器です。以下ざっと記事をひろってみました。

1 F-86Fは音速を超える性能を有しています。
 「日本の航空宇宙工業 50年の歩み」 http://www.sjac.or.jp/data/walking_of_50_years/
  
 17 各論;岡村 N−52 〜 日本航空機製造 YS−11」の106頁
   「三菱 ノースアメリカン F-86F」より
 ・ 本機の原型XP-86は、(中略)、1948年4月には浅い角度の降下飛行でM1を超えた。
 ・ 三菱重工でのF-86Fのライセンス生産機は、(中略)昭和34年3月9日には社内試験飛行で音速を突破した。


2 最大速度570kt(1056km/h)は音速でしょうか?
  「wikipedia マッハ数」の「一般的用法」 http://ja.wikipedia.org/wiki/マッハ数
 ・ 音速は空気の密度や温度で変化します。成層圏では、最大速度570kt(1056km/h)ほぼ音速です。
 ・ この状態でダイブすれば機体は音速を超えて加速し衝撃波で破壊されます。


3 超音速から安全に減速するための訓練があります。
  「F−86F音速突破で空中分解」 http://sky.geocities.jp/oozoranonakama/turui.html

 


回答 F-86Fにも付いています その3 大石治生

  航空機の計器類は民間も同じですが、使用者が配置や種類をオプションで選んで取り付けているので、運用する組織によって違いはあります。

  丸メカニック17 F-86セイバー の解説ではF-86F-35以降の機体が同形式のマッハ計を装備しているとのことですが、それ以前の機体にもマッハ計は装備されております。

 離着陸時など精密な速度を測る場合と飛行中に直感的に速度を知るために高度計と同様に二種類の計器を装備しているのでしょう。

 KKワールドフォトプレス発行「自衛隊1978自衛隊航空機特集」にseraさん所有のパネルと同じ写真が載っています。

 

 

回答 機種の決定  O.C.C  


質問のタイプは、私が蒐集した計器盤の中の三菱製F-86F-40の計器盤と同じです。

航空自衛隊ノースアメリカンF-86研究 F-86の計器盤各型より

佐伯 : F-86の計器盤にはマッハ計があること、及びseraさん所有のパネルがF-86Fダッシュ40であることが確定しました。

 更に、ダッシュ40の計器盤は日本向けのノースアメリカン製と三菱製が同じタイプであったと想像されます。その理由はseraさんがアメリカから輸入していることで、その元の機体は、剰余機としてアメリカに返還されたダッシュ40(45機、一部はQF-86となった)ではないかと思われるからです。

 

名探偵シャーロックHOME・SITEMAP・サイトマップズになって  大石治生  

決定 F-86の計器盤についてですが、計器盤の裏側や計器類に重要な手掛かりがあります。航空機を製造した際に機体各部に製造番号を記載していますので、そのシリアル番号から製造年や機種などが判明します。(旅客機の場合は発注国などの記号も記載されており、発注主の仕様に合わせてオーダーメイドで組み立てられています)

 ※ 機体番号から機体の来歴が判明した例としては、墜落した機体の破片に記載されていた製造番号から坂井三郎氏のラバウル時代の乗機や、ロシアで発見された機体から独軍エースパイロットであるマルセイユがバトルオブブリテンで使用していた機体が判明しています。

 また、計器盤に取り付けされている計器類も定期的に検査を受けており、校正検定が終了したものは検査済のシールを張られております。seraさんの計器盤も各計器の容器を詳しく調べれば機体の来歴などが判るかもしれません。 名探偵シャーロックHOME・SITEMAP・サイトマップズのように!

 

背面を調べてみましたが sera

 早速、計器盤背面を確認しましたが、残念ながら検査シールはありませんでた。

 

計器盤取り付けマウント金具にもロット番号らしき捺印がありました。


 そのほかは計器背面に1958年と1960年の捺印がありました。