飛燕初飛行70周年記念展を見てきました。展示場は小さな会議室くらいの部屋で、基本はパネル展示、一部実物の部品類とビデオ上映ということで、相当に地味な感じです。一般向けには無理ですが、内容は意外に濃いもので、航空マニアや専門家向けになっています。
家族連れなどはすぐに出て行ってしまうので、お蔭で私はじっくりと観ることができました。
興味深かったのは、キ61の風洞実験用模型の写真で、側面形は、あたかも同じDBエンジンを積んだイタリアのマッキC202戦闘機やレジアーネRe2005を思わせるもので、開発の時期的には、ほぼ同時期かキ61の方がやや先行かとも思われるので、いろいろ想像をかきたてられます。
ビデオは、昭和18〜19年頃に製作された川重の宣伝用映画と、土井武夫さんの機械学会での講演が上映されています。
前者は、完成機体が滑走路へ引き出されて作業員が見守るなか軍のフェリーパイロットに引き渡され、工場上空でアクロバットをやって飛ぶ去っていくというような内容ですが、エンジン始動音はライブ録音らしく、ハ40発動機の爆音が聞けます。
ビデオの後者では、土井さん自身が主翼の構造はシングルスパーで、翼厚中心付近がちょうど平行になるのを利用して、箱状構造にして、中に燃料を入れたとか、翼型は付根付近と翼端では異なる断面形を選んだ結果として、1.5度のねじり下げが付いた等々の面白い話が聞けました。