航空歴史館技術ノート | 掲載10/07/04 追加10/07/14 |
飛行艇の離水角度指示器 通称かんざしについて
@ 川西二式大型飛行艇 | |
A 新明和PS-1 | |
B 新明和US-1A | |
C 新明和US-2 | |
D ソ連の飛行艇 |
離水角度指示器 通称かんざしについて
飛行艇の離水角度指示器 通称かんざしについて
かんざは、正式には離水角度指示器というなるほどぴったりの日本語名称がついています。海上自衛隊もそれを継承しているのでしょうか。 まさか、浮世絵の簪に敬意を表して「かんざし」を正式名称に! なんて遊び心があるようなら平和ですが‥。
二式大艇設計者の菊原静男氏の回想から (丸メカニック19)
艇体の幅を九七大艇より狭く3メートルにしました。3メートルのビームというのはこの飛行艇の重量に対しては狭すぎたのです。水槽実験でポーポイジングが起こることが分かっていたので、詳しく実験をやって5度プラスマイナス1度くらいの範囲の姿勢なら起きないことが分かりました。
そこで、5度という傾斜角をはかるのに当時のU字管式傾斜計では加速度がかかると誤差が大きくなるので、いろいろ考えて、風防の前にマストを立てて、ピトー管とし、その途中に横棒をつけてパイロットが横棒と水平線を一致させるように舵をコントロールすればちょうどプラス5度になるようにしました。計器に目を移すことなく、前方を見つめたまま角度を合わせられるので、今でいうヘッドアップディスプレイのはしりのようなものです。これをかんざしと呼んでいました。
川西二式大型飛行艇
B 離水角度指示器 通称かんざし A ピトー管
撮影2010/05 鹿屋航空基地史料館内のパネル 元村博之 (許可を得て撮影)
川西二式大型飛行艇 撮影2003/12/21 船の科学館 佐伯邦昭
拡大
かんざしによる見通しの図解
丸メカニック19および24などを参考にかんざしの使い方を図示してみました。
19の日辻常雄さんの回想をお借りしておきます。
パイロットは、あらかじめ風防のマークとバー(通称カンザシ)の見通し線上に目の位置がくるように座席をセットしておく。
離水開始時からパイロットは操縦桿を引きの6°に固定してそのまま待っておれば、ハンプを越えた時、機首は大体5°にセットする。カンザシを水平線に一致させるよう微細な操舵をしておれば、艇は加速してきてやがて離水する。
この操縦法が徹底されたのは19年5月ごろであるが、二式飛行艇のポーポイス事故は殆ど消え去っている。
新明和PS-1 ps-1
PS-1 5814 撮影1980/08/03 岩国航空基地 佐伯邦昭
新明和US-1A US-1A
US-1A 9084 撮影1996/05/05 岩国航空基地 かつお
拡大
新明和US-2 US-2
US-2 9903 撮影2009/10/04 岩国航空基地 にがうり
拡大
US-2 9902 撮影2009/10/04 岩国航空基地祭 体験搭乗にて にがうり
ソ連の飛行艇にもかんざしが? BUU べり
話題の飛行艇のカンザシですが、何となくネットをさまよっていましたら、イングリッシュロシアと言うサイトで、ベリエフBe−12の内部を撮影した詳しい写真が ありました。コクピットから前方を撮影したものに、カンザシらしき物体が写っていましたがどうでしょう?
ソビエトの機体にカンザシって呼ぶのも変ですが・・・
URL http://englishrussia.com/index.php/2010/06/19/kachinsky-air-garrison/佐伯から : なるほど、そのようなものが見えますね。良いものはだまって拝借するソ連の航空技術でしたから、かんざしも真似たのかもしれません。
English Russiaというサイトは、誰が制作しているのでしょうか、鮮明な写真で、クラシックな航空機の内外がよくわかりますね。
新 ソ連のべリエフBe-4、Be-6について gundamzaku
BUUさんが見つけたベリエフBe−12写真のかんざしらしきものは、無線アンテナではないでしょうか。べりエフの飛行艇については、http://www.aviastar.org/air/russia/a_beriev.php という英語サイドが参考になると思います。
このHPを見ると、1940年のBe-4(KOR-2)の機首には小さいカンザシらしいものが付いてるみたいです。
また、ベリエフBe−6の機首にも何か棒状のものが見えます。
元写真 ベリエフBe-6 撮影2009/01/05 中国青島海軍博物館
展示中の機体はBe-6のエンジンをターボプロップに変え、磁気探知装置とソノブイを追加したバージョン
べりエフBe-6 プラモデル製作 かつお