日替わりメモ35番 2006/02/27
禿(ヶ無し)の話し 各務ヶ原か各務原か 岐阜野郎さんから投稿
岐阜県各務原市(かかみがはら)は、本来の各務ヶ原より市制に移行時現在の表記になりました。 飛行場のある場所は、太古、木曽御岳山の噴火による火山灰が降灰堆積した場所といわれています。
市は近隣市町村の合併ででき、各務ヶ原はその一部となりました。旧軍に関連する地名のためにいろいろな思想や他地域のプライド等々があり、ヶを入れるかどうかで揉めたようです。
最終的に今の禿(ヶ無し)になりました。
JR高山線の駅は現在も「各務ヶ原」駅です。駅名も変更の話があったようですが、JR(当時は国鉄)が頑張ったのか、歴史的な地名ということかでそのままになっております。偶然とはいえ件の学芸員さん痛烈な一言に聞こえます。
多くの考え方がありますが、日本の航空界に重要な役割を果たした表記の仕方を、航空界に関係のない鉄道施設だけに残すのではなく、関連施設に一箇所くらい残しても良いのではと思います。将来、かかみがはら航空宇宙科学博物館へ飛燕が展示される夢のようなことがあれば、ピッタリくるのは各務原の飛燕ではなく各務ヶ原の飛燕じゃないかとも思ったりします。
佐伯から : 歴史をたどると、各務原飛行場は、1918年に那珂村の陸軍第三師団演習場の一部を借りて開設され、航空隊(後に飛行第一、第二連隊)がおかれましが、固有名詞の表記や呼び方は今に至るまで何種類も見受けられます。
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表 記 |
呼び方 |
堀江賢二 概観世界航空地理学 1933年発行 |
各務ヶ原飛行場 |
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仁村 俊 航空五十年史 1943年発行 |
各務原飛行場 |
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日本航空機総集川崎篇 川崎航空機製作略史
1960年発行 |
各務ヶ原工場 |
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回想の日本陸軍機 1962年発行 |
各務ガ原飛行場 |
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各務ヶ原電気鉄道 |
各務ヶ原 |
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国鉄、JR東海高山線 |
各務ヶ原 |
かがみがはら |
名鉄 |
各務原市役所前 |
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各務原市 1963年合併設立 |
各務原市 |
かかみがはらし |
二万五千分の一地図(名鉄線駅名) |
かかみはらひこうじょう |
かかみはらひこうじょう |
地図で検証
@ 昭和一桁時代の各務原 佐伯
上記堀江賢二著概観世界航空地理学に出ている地図では、「各」に「カガ」の振り仮名、「務」に「ミ」の振り仮名、その左下に「ケ」が記入されています。
堀江賢二著 概観世界航空地理学(1933年発行
)から
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A 1945年と1947年の地形図の表記 TRONさんから投稿
27日の各務原も話しは、結構面白そうなので、私も手持ちの資料を調べてみました。
まず、1945(昭和20)年部分修正測量の5万分の1地形図では、飛行場や部隊の名前が消されていたので分かりません。
1947(昭和22)年修正測量の5万分の1地形図と2万5千分の1地形図では旧飛行場敷地内に「カガミ」(ハラ)という振り仮名付きで「各務原」と書かれています。
1947(昭和22)年修正測量の5万分の1地形図
(佐伯注 : 1947年当時はキャンプ岐阜 アメリカ陸軍第6軍第25師団第27連隊が駐留)
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1947(昭和22)年2万5千分の1地形図
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面白いのは、昭和20年の地形図には、現在の名鉄が「名古屋鐵道各務ヶ原線」となっているのに、昭和22年の地形図では「名古屋鐵道各務原線」(5万分の1)、「名古屋鉄道各務原線」(2万5千分の1)となっていることです。敗戦後の混乱期に、わずか2年でわざわざ書き換えるというのも不思議なことです。
なお、この頃(昭和22年)は現在の名鉄「各務原市役所前」駅が運動場前」駅、「市民公園前」駅が「高農前」駅と言う名前でした。このうち、「各務原市役所前」駅は、創設時の「一聯隊前」に始まって、「各務原運動場」←「運動場前」←「各務原飛行場(かがみはらひこうじょう)」←「各務原飛行場(かかみはら飛行場)」←「各務原市役所前」と6回も駅名を変更しているそうです。
B 地図上に見る駅名の変遷(時代を逆にたどる)
名鉄各務原線(岐阜方面から) |
しみんこうえんまえ |
←こうのうまえ←かうのうまへ(高等農林) |
かかみがはらしやくしょまえ |
←かかみはらひこうじょう←かがみはらひこうじょう←うんどうじょうまえ←かがみはらうんどうじょうまえ←いちれんたいまへ(飛行第一聯隊) |
ろっけん |
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(現在廃止) |
←かがみの |
みかきの |
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にじっけん |
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めいでんかかみがはら |
←めいでんかがみはら←にれんたいまへ(飛行第二聯隊) |
JR東海(国鉄)各務原線 |
そはら |
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かがみがはら |
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いわゆる各務原台地に展開された飛行場と鉄道の概念図 (作図 佐伯)
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参考までに
各務原については、古代に鏡を作っていた集団の「かがみ」が変化した地名という説もあるから始まって、各務ヶ原台地一帯の地理と近現代史を詳しくわかりやすく紹介されているホームページ「未来航路」をお勧めします。
http://miraikoro.3.pro.tok2.com/study/gifu_mino_hida/00gifu_mino_hida_menu.htm
作者の水野さんは社会科の先生として、生徒に正しく分りやすい教材をつくろうと文献の精読と現地調査を徹底されているようです。
陸軍が演習場として目をつけた発端から、陸軍飛行隊と川崎航空機の歴史、戦時下や占領下の模様、その遺跡、今の岐阜基地と航空宇宙科学博物館の紹介など完全にツボどころが抑えてありますし、その上に戦闘機開発の背景や日米航空戦まで記述が及んで、そのサービス精神には舌をまいてしまいます。
15編のうち、戦後の川崎重工業だけが近々掲載となっておりますが、多分実験航空隊の未公開の歴史やC-X、P-X開発の話しも出てくるのだろうと大いに期待しております。
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